トレーニングの習慣化
健康でいたい、綺麗になりたい、もっと体を鍛えたい。様々な理由でジムや自宅でトレーニングしている方は近年ますます増えていますね。思い立ったその時の気持ちを続けられず、いつの間にかやめてしまったなんていう方は多いのではないでしょうか。せっかく始めたなら効果が出るまでしっかり続けたい。どうやったらトレーニングを習慣化して理想の自分になれるだろう。そう考えている方にトレーニングを習慣化するポイントをお伝えします。
新しいことが続かないのはあなたのせいじゃない
やろうと思っていたことが続かずやめてしまったり、それによって目標としていたことを達成できないことが続くと、自分は意思が弱いなとか、またできなかったと落ち込むかもしれません。
まず、私たち人間は急に新しいことを取り入れるのはそもそも苦手なのだと理解しましょう。人の脳は「今日は何を食べよう」「どんな服を着よう」「何時発の電車に乗ろう」など、1日に最大3万5,000回以上の決断をしているともいわれています。常に決断することでエネルギーを消費し続け疲れています。そこに新しいことを始めようとするとその情報を整理・比較・検討し、ようやく決断するといった脳の仕事が増えて負荷がかかるのです。それを避けるため、脳は急激な変化を嫌い、抵抗するという特徴を持っているのです。ですから、急に新しく何かの物事を始めることがなかなかできないのは個人の能力に無関係というわけです。
では習慣化できている人はどのように習慣化していったのでしょうか。
習慣化するとは
皆さんは仕事の日の朝、大体決まった時間に目が覚めませんか?また、起きたら顔を洗う、テレビをつける、コーヒーを淹れるなど、特に意識せずにしている日常生活の行動があると思います。他にも、朝食を食べるとき箸の持ち方を改めて考えず使うことができますよね。習慣化されていることは、よしやろう!どうやってやろうといった意思があるよりも前に体が動いています。その行動をすることに考えることなく動けるので、忘れたり、行動するのに面倒さや迷いがないのです。
これは日々繰り返し行ってきたことで脳がその行動を自動化し、状況に反応して自然と体が動くようになっている現象で、習慣化するということは日常生活の中でそれをすることをいかに当たり前にして、考えなくてもできるようにできるかということなのです。
脳の防衛反応と習慣化
私たちは新しい目標を立てて何かを達成しようとしたときに、その目標が自分にできると思えているときの行動とできないと思っているときの行動では大きな違いが出てきます。
年始にトレーニングや減量目標を立てて、ジムで運動を始めたり食生活を変えるなどいろいろな事をやってみますが、仕事でジムに行く時間が減ったり、会食が増えたりで食生活を変えられなくなってしまい思うように目標が達成できないといった経験はないでしょうか。
脳は自分ができないということで、気持ちが落ち込んだり、ストレスを感じる事を避けるために、そもそもの目標の認識を変えて、できない事・難しい事ととらえて行動を変えようとします。それを認知的不協和理論といい、人は自分の理想と現実のギャップを解消させたいがために、過去の認知または新しい認知のいずれかを否定する傾向にあるというのです。そもそもの理想の認知の定義を変更したり、自分を過小評価して、当初の目標に対する意欲や行動を変更してしまうんですね。つまり私たちは、脳の防衛反応よってできない事を正当化してしまうことがしばしばあるのです。
習慣化をうまくできている人たちのやっている人はその脳の防衛反応をうまく使って、反応が出ないようにするのが上手なのです。脳が急激な変化に抵抗するということがわかっていれば、習慣化するには緩やかな変化がよいということがわかります。脳が変化と認識しないぐらいの行動から継続して行い、それを段階的に増やすことで大きな変化を受け入れられるように脳を騙すのです。
脳を上手に騙して習慣化できるようになるには
①まずは達成できる自分になる(継続すること目標とする)
習慣化したいことを目標にすると、今やるべきことがぼやけたり、達成までに時間がかかり気持ちが続きません。例えば5キロ減量したいという人がいたら、5キロ減量するという目標ではなく、毎日5分間筋トレをするという目標にしましょう。そうすれば、一日たった5分やるだけで目標を達成したことになります。いきなり大きな目標ではなく、それにつながる毎日でもできるような簡単な目標を「継続する」ことが最初に設定する目標には一番適しています。
そして立て方の注意点としては、より具体的になるように設定をしましょう。「毎日筋トレをする」というだけではどれぐらいしたら達成したかがわかりませんね。「毎日筋トレを5分間する」といったように時間を入れると判断しやすくなります。その目標に体が慣れてきたら、5分を10分、15分と長くしていくようにしていきましょう。
②やる時間は決めておく
目標を達成する行動はやる時間を決めておくのも効果的です。脳は繰り返し同じ行動をしているとその行動への思考を自動化するので無意識に動けるようになります。最初は携帯のアラームをかけてなれる必要はあるかもしれませんが、続けているとその時間は筋トレの時間と体が覚えてくれてより楽に行動ができるようになります。
そして、すでにしている日常的な行動の時間の前後に組み込むと、より早く自動化されるようになると言われています。朝起きてすぐ、お風呂に入る前、毎週土曜日の買い物の前など、自分の生活習慣の時間の合間にとりいれてみるようにしましょう。
③目標を達成できる環境に行く
それでもやっぱり自分だけでは続けられない。そんな方にはジムがお勧めです。
自分の目標を周りに宣言すると良いということをよく聞くと思いますが、誰にでもというよりは、自分の目標をすでに達成している人やあこがれの人に宣言をするとより効果が上がると言われています。
ジムにいるトレーナーさんや、そこに通っている人達はすでにトレーニングを継続している方達です。その人たちに自分の目標を少し勇気を出して伝えておくだけで、継続できる確率が格段に上がります。ただ、そこで大きな目標を言ってしまっては継続できません。しっかりと最初に決めた、今の自分が無理なくできる最小の目標から宣言するようにしましょう。
また、あえて宣言しなくとも周りの人が同じようにトレーニングに励んでいる環境にいれば、自然と自分もやろうという意欲がわくという意味でも、目標を達成しやすい環境に身を置くのはとても意味があることです。
④継続の目標から本来の目標達成へシフトする
継続力が着くには最低3週間~3か月かかると言われています。個人差があるので、自分の体が意思と関係なく自動化されているかという基準で判断しましょう。小さなことからコツコツと少しずつ時間や量を増やして、それが無理なく継続できるようになったと感じたら、本来目標としていた事を達成するためにもう一度自分の目標を見直す時間を取ってみましょう。
ここまで来たあなたには継続してきたことでの自信がついているはずです。最初に決めた大きな目標を達成するにはどんなことが必要か具体的に考えてみましょう。
目標達成の期日を決めて、逆算した計画を立ててみる事をお勧めします。達成日から月ごと、週ごと、一日ごとの自分がやるべきことを具体的に書き出して行動に落としてみるのです。
今まで継続してきた行動を、その具体的な行動に近づけることができれば目標達成できる習慣を身に付けられるはずです。
まとめ
トレーニングを習慣化するには、まず大前提として私たち人間の脳は急な変化を受け入れたがらないとお伝えしました。やると決めたランニングや筋トレがなかなか続かないのは個人の能力ではなく誰しも同じなのです。
脳にトレーニングをするという変化を少しずつ受け入れさせるために、まずは小さなことを継続するということを目標にして日常生活の一部にしてしまうこと。そしてそれを徐々に増やしていくことから始めましょう。
小さなことから始めた行動が自分の体になじみ、日常生活の行動として脳が認識してきたら、そこで自分が目指す目標を改めて設定する。そうすることで、その目標を達成する行動ができるようになります。
是非皆さんも小さな継続からチャレンジしてみてください。