ダイエット細胞とも言われている『褐色脂肪細胞』について皆さんはご存じでしょうか。
人には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類の脂肪細胞があります。
痩せやすい人はこの褐色脂肪細胞が活発であると言われ、中年太りとはこの褐色脂肪細胞が減ることによって起こると言われいます。
脂肪とは
動植物に含まれる栄養素の一つです。脂肪は炭水化物やたんぱく質と並び、「三大栄養素」として位置づけられています。人間の体内に存在する脂肪には、中性脂肪、脂肪酸、コレステロール、リン脂質があり、中でも中性脂肪が多くの割合を占めています。体内で余ったエネルギーは中性脂肪となって脂肪細胞に貯蔵されます。
脂肪はエネルギー源として用いられる大切な栄養素であり、寒さや衝撃を防ぐ意味でも不可欠なものです。しかし、脂肪が過剰に蓄積すると様々な健康障害につながります。
白色脂肪細胞とは
食事からの脂肪が分解された「脂肪酸」と、ブドウ糖や果糖などの「糖質」のうち、糖質はエネルギーとして使われますが食べすぎで余った糖質は脂肪酸と合成されて中性脂肪となり、白色脂肪組織に蓄えられます。脂肪を蓄えた白色脂肪細胞は、球体に膨らみ、見た目はイクラのようになります。それが、セルライトです。つまり私たちの体のいたるところに付いていく脂肪とは、白色脂肪細胞という細胞に蓄えられた中性脂肪のことなのです。
褐色脂肪細胞とは
褐色脂肪細胞とはその名のとおり黒茶色の脂肪細胞です。主に首や、わきの下、心臓や腎臓のまわりなど、限られた場所にしかないと言われています。
褐色脂肪細胞は、加齢とともに減少してしまうため、生まれたての赤ちゃんの『褐色脂肪細胞』を100%とすると20歳までに60%、30歳で40%、40歳で20%にまで減少していってしまうと言われています。
余剰のエネルギーを中性脂肪として蓄積する白色脂肪細胞にたいし、褐色脂肪細胞は、脂肪分を分解して熱を産生し、エネルギー消費量を増やすため肥満症や糖尿病治療への治療応用が期待されています。この細胞は、もともとは人間の身体に備わった発熱装置といわれ、冬の寒さなどで体温が下がった場合に、蓄積してある脂肪を燃やして熱エネルギーを作り出すために備わっている機能です。ただし、成長するにつれ、筋肉の発達で熱を発熱する機能が移行することで減っていくのではないか言われていますが、その原因は明確にはわかっていません。
ではどうしたら褐色脂肪細胞を減らさずに維持できるのでしょうか。
このテーマについて明確に立証されているデータはまだないようですが、交感神経系(※1)を刺激するとノルアドレナリンやアドレナリン(※2)などの神経伝達物質が出て、褐色脂肪細胞が活発化することがわかってきているようです。また活性化に影響がありそうな食品も絞り込めてきていると言われているので見ていきましょう。
※1交感神経とは
体と心が「興奮モード」のときに優位にはたらきだす神経です。
たとえば、運動をしているときは心臓の鼓動が速くなったり血圧が上がったりします。
※2アドレナリンとは
血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態にします。精神に影響するのがノルアドレナリンと言われています。どちらも主に血圧上昇や基礎代謝率の増加をもたらします。
『褐色脂肪細胞』の活性方法
脂肪細胞は特定の刺激で変化する
褐色脂肪細胞は、特定のたんぱく質の働きによって熱を産生しています。褐色脂肪細胞に寒冷刺激や交感神経刺激を加えると、たんぱく質の増加とともに細胞数が増加することが明らかになっています。また、本来は脂肪の貯蔵にかかわる白色脂肪細胞も、継続的な寒冷刺激によって褐色化することがわかっているそうです。褐色化した白色脂肪細胞は熱産生に貢献します。褐色脂肪細胞の増加や白色脂肪細胞の褐色化は肥満予防に貢献することが期待されておりこうした現象に関する研究が進められています。
① 肩甲骨回りを動かして交感神経を刺激する
褐色脂肪細胞は成人でも主に肩甲骨の周囲に密集していると言われています。そのため、肩甲骨を動かすことが、褐色脂肪細胞を刺激し脂肪燃焼効果を高めるためにとても有効です。積極的に動かすことで周囲の血流もよくなり肩こり改善にも効果があるでしょう。肩甲骨周辺を動かすストレッチをご紹介いたします。
<首のストレッチ>
1)右手を左の側頭部にあて、ゆっくり首を右に倒す動きを数回繰り返します
2)反対も同様に行います
<肩甲骨ストレッチ>
1)両腕を前に伸ばし、見えない壁を押す要領で肩甲骨を離します
2)腕を引いて思い切り肩甲骨を寄せます
3)この動きを20回程度繰り返します
②寒冷刺激を与えて褐色細胞を活性化する
冷えたペットボトル、もしくは保冷剤をタオルで巻いた物を使用します。
冷えたペットボトルもしくは保冷剤を首の、耳下から鎖骨までを上下に数秒〜1分程度冷やし、鎖骨周辺、手の届く範囲の肩甲骨周辺も同様に冷やします。1日の終わりか、空いた時間にこれを何度か繰り返します。
また、寒冷刺激を与えられる点でサウナも有効です。
まず体を温めることでHSP(ヒートショックプロテイン)を増加させ、そこから一気に冷やすことで褐色脂肪細胞が増加すると入れています。ポイントとしては細胞が熱ストレスを感じる体温38℃をこえ、体が芯まで温まり、(10-15分間37℃以上を維持)熱が体にこHSPは増加させたところで水風呂に浸かれると効果を感じやすくなります。ここでしっかり寒冷刺激を与えることが大切です。1℃の水風呂に1分を目安に浸かれるとよいでしょう。褐色脂肪細胞の集まる首や肩あたりを意識的に冷やすようにすると、さらに効果的です。
③食べ物の摂取から交感神経を刺激する。
食事で『褐色脂肪細胞』を活性させるヒントとしては、昔から「体を温める」と言われている食材をと摂取することで、交感神経を刺激して褐色脂肪細胞を活性化できるのではないかと言われています。
・トウガラシ
・ニンニク
・ショウガ
・ミント
・ワサビ
これらは普段の食事にも取り入れやすいものもありますので、意識して摂取してみましょう。
また、数年前にある海藻に含まれるフコクサンチンと言われる成分を積極的に取った結果、『白色脂肪細胞』を『褐色脂肪細胞化』させるというある大学の准教授の実験がテレビで話題となり、日本農芸化学会の学術記事でも数年にわたって取り上げられているテーマとなっているようです。
脂肪細胞の違いまとめ
【白色脂肪細胞】
一般的な白色の脂肪細胞。体内に取り込まれた余分なエネルギーを貯蔵する働きを持ち、
皮下脂肪や内臓脂肪として体のあらゆる場所に蓄積されている。増加するだけでなく、
細胞1つずつも役ほどに大きくなる性質がある。
体温保持、臓器の位置の保護、女性ホルモンの活性化など必要な機能も持つ。
白色脂肪細胞が増加・肥大する事で肥満体型になり健康被害を及ぼすことがある。
【褐色脂肪細胞】
褐色色(黒茶色)をした脂肪細胞。白色脂肪細胞を燃焼させて熱を作り出す働きがある、
首周辺・肩・肩甲骨周辺・脊髄周辺・脇の下といった背中に集中しているのが特徴的。
寒さで体温が下がった時に、白色脂肪細胞を燃焼させて体温を上げられるように備わった人間の機能の一つ。成長とともに筋肉が体温調節の役割をかわりに担っていく中で、褐色脂肪細胞の数は徐々に減少していくと言われている。
まとめ
いかがでしたでしょうか。普段多くの人がとにかく減らそうとしていた『脂肪』には2全く違う2種類の「脂肪細胞」があることがわかりました。そしてその一つ『褐色脂肪細胞』は、いわゆる痩せ体質の人が多くもっている脂肪細胞なのです。褐色脂肪細胞は年とともに大きく減少していってしまいますが、なくなるわけではないということ、そして褐色脂肪細胞を活性化させることは可能であることを知って頂いたと思います。ぜひ日頃の生活の中で意識して褐色脂肪細胞を活発にして脂肪を燃焼しやすい体を脂肪細胞の観点から目指してきましょう。褐色脂肪細胞に関してはまだまだ研究が進んでいる分野ではありますが、いつ褐色脂肪細胞を減らない研究も進んでいくかもしれませんね。