プログラミングの必修化
こども教育において日本は、プログラミングを2020年から小学校を対象に授業が必修化した事を皮切りに、2021年には中学校で、そして2022年からは高校での授業も必修化しました。日本では近年、リカレント(学びなおし)やリスキングと言われる人材の再教育や再開発を行う取り組みを推奨しIT人材を国内から排出しようとしてるほど深刻なIT人材不足なのです。そしてそれは、こどもの義務教育にもおよび、今後ますますIT技術の教育を進めていく方針を固めています。
しかし、こども達全員がプログラマーになるわけではないにもかかわらず、なぜ必修化するほどプログラミング教育が必要なのでしょうか。それは世界的にIT化やグローバル化が急激に進み、「今後半数以上の職業が、AIによって自動化され、数年後には無くなる」と言われているからです。将来の予測が難しくなっている現代において、もうすでに日常生活や学校・職場などに浸透しているデジタル化に対応できるだけの知識やAI技術を理解し扱えるようになるための基礎や技術がこれからの世界では必須となるのです。
今世界中で、コンピュータや携帯などの情報機器の普及によって、ITサービスを使って得られた情報を適切に活用したり、デジタル技術を主体的に活用していく職業が重要な仕事のシェアを占めてきています。ある調査会社のアンケートでは、今後活躍する職業としてこんな結果が出ています。
第一位 ITエンジニア・プログラマー
第二位 ゲームクリエイター
第三位 エンジニア
第四位 デザイナー
今まで収入が高く安定していると人気があった医療系や公務員といった職種を押さえて、上位をデジタル技術を応用した仕事が選ばれているのです。さらにはITとほとんど無関係だった業界でもデジタル化がより一層求められるようになったため、ICT技術(情報処理および通信技術の総称)をまったく使わない職場はほとんどないと言っても過言ではありません。
小学校・中学校・高校でのプログラミング教育の必修化は、子どもたちがこれからのデジタル化時代を生き抜き、子供たちの将来の働き方の可能性を広げる為の手段なのです。プログラマーを志望していなくても、プログラミングの基本知識やその考え方を教養として身に付けておくことで、職業選択の幅が格段に広がり、どの職業でも役立つ知識となるでしょう。
プログラミングを学ぶことで得られること
プログラミングを学ぶことでどんなことが身に付くのでしょうか。文部科学省は小学校でのプログラミング教育はプログラミング的思考を養うためのものであるとしています。
『プログラミング的思考』とは、プログラミングの概念にもとづいた問題解決型の思考のことです。
問題解決力を養うプログラミング
プログラミングにおいてエラーが起こった場合には、まず複雑なエラーを細かく分割し、問題になっている個所を根気よく見つけ、組み立てなおすといった作業が必要となります。様々な方法でトライ&エラーを繰り返えしエラーを解決するのです。その様な作業を繰り返し行うことで、プログラミングだけでなく、他で大きな問題が起こった時にも、はなから諦めたり、感覚で解決したりしようとせず、まずは物事を細分化し、一つずつ解決する忍耐力や思考力を持つことができるようになるのです。
思考を言語化できる能力を養う
人間には良くも悪くも感情や感覚といったものがあり、それは人によって違うため、時に事実と異なってしまう場合があります。目の前の事柄を人に伝えたり、自分以外の人と問題を解決する際に事柄を正確に共有できないと非効率となってしまうことがあります。自分の頭の中にあるイメージや経験を、感覚ではなく、さまざまな言葉に置き換えたり具体的な数値にして、自分以外の人にわかるように言語化して表現できることは将来仕事を遂行する上でとても重要です。
プログラミングでは、ロボットに動作をあらかじめ設定して動かします。それは自分がさせたい動きをイメージして、それをロボットに様々な動きの単語や数値を組み合わせて覚えさせる必要があります。
例えば「床に落ちている物を拾う」という動作をさせたければ、「右足を20センチ前に出す「右膝を床につける」「左膝は90度に曲げる」「45度前かがみになる」「右腕を伸ばす」「右手でつかむ」等です。
ひとつの動作をさせるだけでも様々な言葉が必要なのがわかります。このように、プログラミングでは自分の頭の中のイメージを様々な言葉で作り上げる訓練にもなるのです。
英単語を同時に身につけられる
プログラミング言語は原則的にアルファベットで構成されており、その多くは英語由来の単語が使用されています。日本はプログラミング後進国のため、最新のプログラミング情報のサイトや実用書は英語で学んでいく必要がでてきます。もちろん、現在は日本語訳されている情報が多くなっているので、こども教育には日本語でプログラミングを学ばせることができますが、日本語訳がついた英単語をゲーム感覚で小さいころから学んでおくことで、自然と英単語を覚えていくこともできるのです。
場所を選ばない自由な働き方ができるようになる
プログラミング技術を使えば、パソコンとネット環境を用意するだけで場所や時間を選ばずに、世界中どこでも仕事ができるようになります。そのため、会社に出社せず海外にいながら、育児をしながら、旅行をしながら仕事を進めることができるのです。プログラミングを学ぶことで、今まででの時代は考えられない自由度の高い働き方をこども達は将来当たり前にしていきます。働き方も収入もどちらも重要視される時代だからこそ、プログラミングは重要なのです。
プログラミングの学び方
独学で学ぶ
インターネットで検索すると、無料のプログラミング学習ができるサイトはいくつかあります。
プログラミングの基礎と簡単な応用は無料でも学ぶことができるでしょう。
学び方や学習の進め方は様々な無数にある実体験のブログやYoutubeから学ぶこともできます。拘束力がない分、継続するのは根気がいりますが、家計に優しい学び方です。
スクールで学ぶ
近年、子供向けのプログラミングスクールはとても人気が高くなってきています。
費用は掛かりますが、親がプログラミングの知識がない場合はスクールに通わせてあげることがお勧めです。プログラミングスクールのメリットとしては、まず学習の内容が決まっているため、順を追って効率よく学ぶことができます。そして直接講師に質問できるので、不明点をすぐ解決することができ、改善スピードが速くなって覚える量も増えると言えるでしょう。また、同じスクールの友達がいることでモチベーションを保ちやすかったり、周りに鼓舞されて学習を継続しやすくなるなどのメリットもあります。
まとめ
如何でしたでしょうか。デジタル化が進み、AIが人間の生活をより便利にしていくであろうこれからの時代には、プログラミングの知識や技術が必要となります。今、さまざまな会社がこどもがゲーム感覚で学べるプログラミング学習のソフトを開発しているので、お子さんも楽しみながら学べるのではないでしょうか。ただ学校教育の現場で必修化されたと言っても、まだ教員の知識のレベルが追いついていなかったり、設備が十分でなかったりするケースも多くあります。しっかりと家庭で学ばせてあげることで、将来のお子様の将来の働き方の選択肢の幅を広げて上げられたら嬉しいですね。
スクールに通えば、仮に自宅にパソコンがなくても、親がプログラミングを知らなくてもこどもにプログラミングを学ばせてあげることができます。ぜひ活用してみて下さい。