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子供の脳の発達には水泳が効果的!運動が得意になるのに水泳がお勧めな理由とは。

2023/01/26

子供の脳の発達には水泳が効果的!運動が得意になるのに水泳がお勧めな理由とは。

学研旧幾総合研究所(Gakken)による2022年9月『小学生の日常生活・学習に関する調査』では小学生でもっとも習っている人が多いのは「水泳」で、特に低学年から中学年までの人気が高く、小学3年生までは全体のなんと約3割が水泳を習っているという結果もでています。しかも2013年調査から習い事のランキングの首位を取り続けている、子供の習い事として大人気のスポーツなのです。

水泳で得られる心身へのメリット

全身運動で基礎体力と代謝が向上する。

水泳はまず全身運動を使う有酸素運動です。また陸上の運動の4倍~10倍の運動量があるため、継続することでより効率用基礎体力がつき、免疫力も向上します。また水の抵抗を受けながら体を動かすことで地上での運動よりも全身の筋力がバランスよくつきやすく、筋力がつくことで基礎代謝が上がり、脂肪燃焼もしやすい体になります。

体温調整力が着くことで風邪をひきにくくなる

プールの水は体温よりも冷たい30度前後に設定されていることが多く、水泳で水中に入ることで体温は奪われますが、体が体温を一定に保と調整するので、水泳をつづける中で自然に体温を調整力が身につきます。季節の温度変化に強くなり体調を崩しにくい体をつくります。

心肺機能の向上

水中では呼吸が制限されるため、水泳では肺を大きく動かし、呼吸筋を鍛える運動ができます。水の抵抗を受けながらの運動は全身を使っての有酸素運動になるため心拍数が上がりやすく心臓機能の向上が見込めます。心肺機能が向上することで、小児喘息が改善された等の効果が得られている方もいます。

運動による体への負担が少ない

浮力によって体への負担を少なく運動することができます。水中では陸上のおおよそ10分の1の負荷で運動することができると言われています。陸上では体重によって骨や関節部(腰・膝・足首など)への衝撃を受ける為、けがをするリスクをが高いのですが、浮力で体重と重力の負荷が減るため、けがのリスクを抑えて体力や筋力アップを目指すことができます。そのため体が未発達な子供達にはもちろん、怪我や麻痺によるリハビリや、体力や筋力が落ちてしまった高齢者の方にも始めやすいのです。

水の浮力でリラックス効果

人は母親のおなかの中にいるとき羊水の中で育ちますが、それと同じように水に浮くと全身の力を抜くことができるため、リラックス効果につながると言われています。また水泳で肺周りの呼吸筋が強化されると、深い呼吸ができるようになることもストレスの軽減につながるのです。そして適度な有酸素運動でセロトニンが分泌というストレスを緩和させるホルモンが分泌されることで、日ごろのストレス解消だけでなく、うつ症状の軽減や抑うつ状態を改善できる研究結果があります。

体だけじゃない脳の発達にも効果がある水泳

水泳は脳を活性化させる効果も期待できます。普段の生活の中では得られない無重力状態・冷たい水の感触・水圧・手足の異なる動きといった刺激と、泳ぐ時のリズミカルな動きによって、脳内のシナプス(神経細胞)の形成を促すことができます。シナプスは情報伝達の役割をもっていて、シナプスが多い人ほど「情報処理能力が高い=頭の回転が速い」という風に言われています。

アメリカの医学者であるスキャモンは「発達・発育曲線」を発表し、神経機能は5歳頃までに約80%、12歳頃にはほぼ100%形成されると提唱しています。

参考図:日本口腔保険協会 https://jfohp.or.jp/info/2021/8200
参考文献:1)小林正子.スキャモンの発育曲線と子どもの発育.子どもと発育発達,12(4),259,2015(一部改変)

つまり12歳ごろまでの「ゴールデンエイジ」と言われる子供の体の成長期には、脳内のシナプスの形成も活発に行われているため、その時に水泳をさせることによって生じる刺激はシナプスの形成に非常に効果的であると言えます。

また実際に、脳科学の観点から、水中に入り浮力によって重力を受けずに体を動かせる状態を保つことは、自分の体の位置や状態をイメージしながら運動する必要があるため「空間認知能力」を高めることに繋がることが知られています。空間認知能力とは、三次元の空間において物体の形状やサイズ感、位置などを認識することができるという機能なのです。

それにより子供が算数の図形問題や地図を読むこと、また文章の読解能力も得意になる傾向があると言われています。「空間認知能力」が高いと、あらゆる物の内部構造を理解し、また空間把握できることで設計やデザインをすることができるようになる為、将来それらを活かした仕事を得意とするのに大きく役立てることができます。

またある調査結果では、東大生が、東大生の約6割は小学生の頃にスイミングスクールに通っており、学力向上に直結しそうな塾よりもスイミングスクールに通った子どもが多かったというのです。このことから「水泳は頭の良くなるスポーツ」としても注目されるようになりました。身体だけでなく脳の発達にも効果があると言えそうですね。

どのくらいの運動時間が必要か。

様々な効果が期待できる水泳ですが、激しすぎる運動は体力が奪われ過ぎてしまうことから、勉強の成果を下げてしまう可能性があります。水泳はほかのスポーツよりもエネルギー消費量の多いスポーツと言われています。例えばウォーキングを約40分して100キロカロリーを消費する人が水泳を行った場合、水泳では約3分で100キロカロリー消費してしまうと言われているほどです。ですから水泳の長時間の運動は疲労がたまりすぎてしまい、勉強への集中力を奪ってしまってしまう可能性があるため注意が必要です。

有酸素運動は20分たった頃から脂肪燃焼効果が期待できるので、水泳においては、泳いだ距離ではなく泳いだ時間の方が大切。まずは1回30分程度を目安に取り組み、体力に合わせて少しずつ時間を延ばせるようにしましょう。そして筋肉が回復し成長するのには48〜72時間程度かかるので、週2〜3回の頻度で行うのが理想的です。

多くのスポーツクラブにはそれぞれのお子様のレベルにあったクラスがあります。まず水に入ることから始めるなど、お子さんが水の感触を全身で楽しむところから始めるだけでも体にはさまざまな良い効果が期待できます。そして陸上では味わえない無重力状態や、心地よい疲労感を感じさせる程度の運動量をさせながら、お子様の成長に合わせて一緒に時間の長さや頻度を考えてあげるとよいでしょう。

まとめ

如何でしたでしょうか。水泳は子供の体の発達期には陸上競技ではえられないあらゆる刺激があり、体力増進だけでなく脳の発達にも良いということを知って頂けたと思います。お子さまへの習い事の中で一番人気な理由もうなずけますね。

そして親御さんにとっても水泳は他の習い事よりも費用がかからず、続けやすいという魅力もあります。水泳は帽子と水着・ゴーグルがあれば始められるスポーツです。サッカーや野球といったユニフォームに加えて運動道具がほとんど必要ないといったことを考慮すると比較的リーズナブルと言えるでしょう。もちろん子供の上達に連れて、合宿費用や試合へのエントリー費用等、決してお安い金額ではない費用も掛かってきますが、体と脳への効果を考えれば一石二鳥と言える習い事であると言えるかもしれません。